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川柳つれづれblog

*毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。

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ミス・マープル「魔術の殺人」

久々に、ミステリのお話です。
現在CSのミステリチャンネルで放送中のミス・マープルシリーズ
……とはいっても、私の好きな英国版(主演:ジョーン・ヒクソン)ではなく、アメリカ制作のもの。
ミス・マープルを演じるのは、名女優・ヘレン・ヘイズ。というわけで、先日の新作よりよほど品のある(笑)ミス・マープルです。

今月の放送は2作品ですが、スケートに夢中になっているうちに(笑)ひとつは見損ねました。ま、でもそこはミステリチャンネルのこと。おそらくはまた再放送があることでしょう。
というわけで、今回ご紹介するのは一作のみ。「魔術の殺人」作者はもちろんアガサ・クリスティーです。
ミス・マープルは、何者かに命を狙われているという旧友キャリーの屋敷を訪れた。敷地内にはキャリーの夫・ルイスが経営する少年更生施設があり、異様な雰囲気が漂っていた。ミス・マープルが住人たちと部屋でくつろいでいると、銃を持った少年がルイスのもとに来て、二人が隣の部屋に入るなり激しい口論の末に銃声が鳴った…。しかし別の部屋から、キャリーの義子・クリスチャンが射殺体で発見される。この魔術的な事件をマープルは解くことができるのか?!(ミステリチャンネルHPより)


えーと、まずツッコミから入れさせていただければ、「随分と人間関係をすっきりさせましたねえ~」といったところでしょうか(笑)。
何しろこのお話、原作ではこの物語の女主人公キャリー=ルイーズをめぐる血縁関係が、とにかくややこしいのよね~。三度も結婚して、それぞれに子供だの義理の子供だのいとこだの孫だのがごろごろ。そのあたりを随分とさらりと流しておられる。おまけにミス・マープルに最初に彼女を訪問してくれと頼んだのが、最初に殺される義理の息子ということにしてるし……。
まあでもこの改変はわからないでもない。何しろこの原作ときたら、名前がややこしいことこの上ないのよね。日本語表記だから余計でしょうが、キャリー=ルイーズ、そのお姉さん(マープルの親友にしてかなりのブルジョア)がルース、キャリー=ルイーズの夫がルイス・セロコールド……なんでクリスティはこんなに似た名前にしたんでしょう??……ともかく、少なくとも一人(ルース)を省いたおかげで、かなりすっきりしたことは確かです。

もう一人、ジーン(キャリー=ルイーズの曾孫で美貌の女性)をめぐる男たちも、ちょっとすっきりさせましたね。というか、余計ややこしくした、といったほうが正しいけど……。ジーンの夫と恋のさや当てをするのは、たしか演劇に夢中の兄弟じゃなかったっけ?そんでもって、勝手に夫はいじいじしてるけど、ジーンは最初から夫に夢中で、まるっきり他の男には目もくれない。ただ男たちが勝手に騒いでるだけ……といった具合ですよね、原作では。そして夫ウォーリーもジーンの気を引くために、あれこれと自分なりの努力をして、いきなり馬を買ってきたりしちゃう。「無骨だけどやさしい男」という印象がしっかりしてる。
それがこのドラマでは、演劇兄弟をスティーブン一人に絞って、しかもジーンもかなりスティーブンに熱々……といった風情にしてる。まあ最後には結局ウォーリーの元に戻るんですけどね。しかしそれも、ジーンが勝手にふらふら迷ったり怒ったりしてるだけで、ウォーリーはやきもちやいてスティーブンと喧嘩したり、イライラして銃をぶっぱなしたりと、まあ短気でみっともない。「なんでジーンはこんな男に惚れてスティーブンをふったんだか……」って感じですわ(^_^;)。

次にツッコミを入れたいのが、「えらくまあ、マープルが目立ってますこと!」ってところでしょうか(笑)。捜査に当たった警部から「おとなしくしていてくれ」と釘をさされるのはまあいいとして。バードウォッチングと称して双眼鏡を持ってあちこち観察しまわったり(ほとんど意味がなかった気がしますが……)、練習が終わって人気のない舞台に立って朗々とシェイクスピアのセリフを語ったり(ここは“名女優”ヘレン・ヘイズに敬意を表したんでしょうか……)。ああ、書斎でも警部の前でセリフを口走ってますね。しかし、原作では「親友の頼みで“貧乏で生活に困っている”ふりをして訪ねる」ことになってるのよね、マープルさんてば。それがそんないいもの持ってたり、変な目立ち方してはいけないんじゃない?
ちなみに原作では、舞台で襲われるのはマープルではなく「事件の夜、ある人を目撃した」と口走った不良少年。しかもこの子、単に口からでまかせを言っただけなのに、怯えた犯人に殺されちゃう。ま、このエピソードは非常にストーリーとしては蛇足だし、省いて正解でしょう。

あと、ルイスとエドガーの関係もまたすっきり……というか、原作とは変えちゃいましたね。原作では実の親子(庶子)ということになっていたのですが、このドラマでは単に「父親の次に大事な人」という扱いにしてました。うーん、これは良かったのかどうか……。だって、やはりエドガーがそこまでしたのは、実の父に認めてもらいたい一心だったわけでしょう?それを裏切られ絶望したから、湖に自ら入っていったわけですし。そしてルイスも息子を愛していたからこそ、その後を追っていったわけだし……。

それと、ジーンの実の祖母を夫殺しで有名な女優ということにしちゃったのは、ちょっと行き過ぎでしょう。あれは余計な味付けでした。ついでに舞台設定もちょっとばかり現代に近付きすぎですわね。やっぱり私の中のミス・マープルは1940年代か50年代ってイメージです(ちなみに原作は1953年発表)。

何といいますか、やっぱり全体的に「アメリカンなミス・マープル」という印象は拭えませんね。ルイスの死に方も、エドガーを追って湖まで行ったのに、そこで死なずにわざわざマープルの推理を聞いてからの自殺なんていう形にするし……。特に警察に疑われ追いつめられた教授が銃を持ってマープルを盾に逃走、おまけに車ごと門に激突して死亡、なんて……(^_^;)。

でもまあ、まだこの作品は「品」があるだけましかな~という気がいたします。
それにムダを省いてシンプルにしただけ、ストーリーが伝わりやすいというか。……もともとあまり「名作」とはいいがたいですからね、この作品。
というわけで、原作に忠実なジョーン・ヒクソンのシリーズと比べても遜色ないといいますか、むしろこちらの方がわかりやすくていいかもしれません。
どちらを選ぶかはお好み次第。……できれば、ジェラルディン・マクイーワンにはやってほしくないです、私……(笑)。

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プロフィール
HN:
美輪@brownycat
性別:
女性
自己紹介:
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式HP管理人。
ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC(神戸新聞文化センター)川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。

*神戸新聞2008/1/1~7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら

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