川柳つれづれblog
＊毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。
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川柳タッグマッチ（１９）「遊ぶ」
川柳仲間・徳道かづみとタッグを組んでお送りする川柳＆エッセイ「川柳タッグマッチ」。
第19回のお題は「遊ぶ」です。
第19回のお題は「遊ぶ」です。
◇先攻・かづみ
遊ぼうよ泣いても夜は明けるけど かづみ
人類を「ホモ・ルーデンス（遊ぶ人）」と呼んだのはホイジンガだった。
ここ数年、遊ぶといえば“夜遊び”、それも専ら「お酒を飲むこと」が中心だ。しかし、ただ飲んでいることが“遊ぶ”なんだろうか…迷いつつ今宵もバーのドアを開ける。
A「この間ナンパしたらさー、誘い文句が古いって馬鹿にされてさー」
B「俺なんか一人に“一緒に飲まない？”って誘ったのに、その友達が数珠繋ぎでついてきたよ」
C「ねー今度ナンパ競争しようよ」
D「じゃあ、誰が勝つか賭けよ」
A「そんなの女の方が有利じゃん」
C「ハンデあげるよ！」
他愛もない会話に笑い声をあげる。煙草のケムリとご機嫌な音楽が満ちた中で、グラスを片手に身体を折り曲げて、笑う。そこで今日一日笑っていなかった自分に気付く。強張っていた表情筋がほぐれて、ホッと溜め息をついている。
帰宅して開いた辞書には“「遊ぶ」＝実生活と離れて楽しむこと”と書かれていた。
ぐっすりと眠る 明日も遊ぼうね かづみ
◇後攻・みわ
昔からひとり遊びの得意な子 美輪
私が子供の頃は、いくらでも遊び場所があった。庭の栗の木にはみんなで競争で登ったし、家の裏の畑は、兄が地中基地だといってミニカーをいくつも埋めていた。
近所の工場内の空地は、草野球やドッジボールには絶好の場所。日曜にはたいていそこで、大人も子供も暗くなるまで遊んだ。川沿いの道は犬の散歩コース。暑い日には犬をザブザブと泳がせて、体を洗ってやった。
裏手の野原は、楽しいものでいっぱいだった。春先は土筆やよもぎを摘んだし、夏にはバッタを捕まえた。秋にはドングリや紅葉を拾い、冬には凍った水たまりを踏んで歩いた。石けり、なわとび、かくれんぼ。高価なおもちゃなんてなくても、いくらでも遊べた。
最近、公園や空き地でもあまり子供の姿を見かけない。物騒な事件が次々起こるせいか、子供たちは家の中でばかり遊んでいる気がする。私の田舎も、外で遊ぶ子が少なくなった。昔遊んだ野原には家が建ち並び、工場内の空地も今は一般立入禁止になっている。
たっぷりと遊んだはずの日曜日 美輪
遊ぼうよ泣いても夜は明けるけど かづみ
人類を「ホモ・ルーデンス（遊ぶ人）」と呼んだのはホイジンガだった。
ここ数年、遊ぶといえば“夜遊び”、それも専ら「お酒を飲むこと」が中心だ。しかし、ただ飲んでいることが“遊ぶ”なんだろうか…迷いつつ今宵もバーのドアを開ける。
A「この間ナンパしたらさー、誘い文句が古いって馬鹿にされてさー」
B「俺なんか一人に“一緒に飲まない？”って誘ったのに、その友達が数珠繋ぎでついてきたよ」
C「ねー今度ナンパ競争しようよ」
D「じゃあ、誰が勝つか賭けよ」
A「そんなの女の方が有利じゃん」
C「ハンデあげるよ！」
他愛もない会話に笑い声をあげる。煙草のケムリとご機嫌な音楽が満ちた中で、グラスを片手に身体を折り曲げて、笑う。そこで今日一日笑っていなかった自分に気付く。強張っていた表情筋がほぐれて、ホッと溜め息をついている。
帰宅して開いた辞書には“「遊ぶ」＝実生活と離れて楽しむこと”と書かれていた。
ぐっすりと眠る 明日も遊ぼうね かづみ
◇後攻・みわ
昔からひとり遊びの得意な子 美輪
私が子供の頃は、いくらでも遊び場所があった。庭の栗の木にはみんなで競争で登ったし、家の裏の畑は、兄が地中基地だといってミニカーをいくつも埋めていた。
近所の工場内の空地は、草野球やドッジボールには絶好の場所。日曜にはたいていそこで、大人も子供も暗くなるまで遊んだ。川沿いの道は犬の散歩コース。暑い日には犬をザブザブと泳がせて、体を洗ってやった。
裏手の野原は、楽しいものでいっぱいだった。春先は土筆やよもぎを摘んだし、夏にはバッタを捕まえた。秋にはドングリや紅葉を拾い、冬には凍った水たまりを踏んで歩いた。石けり、なわとび、かくれんぼ。高価なおもちゃなんてなくても、いくらでも遊べた。
最近、公園や空き地でもあまり子供の姿を見かけない。物騒な事件が次々起こるせいか、子供たちは家の中でばかり遊んでいる気がする。私の田舎も、外で遊ぶ子が少なくなった。昔遊んだ野原には家が建ち並び、工場内の空地も今は一般立入禁止になっている。
たっぷりと遊んだはずの日曜日 美輪
（神戸新聞夕刊 2006年3月22日掲載）
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プロフィール
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美輪＠brownycat
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性別：
女性
自己紹介：
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式ＨＰ管理人。
「ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC（神戸新聞文化センター）川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。
＊神戸新聞2008/1/1～7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら
＊大ちゃんのリンクを守ろう！詳しくはこちら
＊リンクの再開・存続が決定しました。
＊大阪のリンクを守ろう！ 詳しくはこちら
＊存続が決定しました。今後ともご支援ご協力お願いいたします。
＊ここに掲載している川柳作品・文章はすべて私のオリジナルです。著作権法に基づき、無断転載ならびに無断引用は固くお断りいたします。
＊コメントはどうぞ御自由に。トラックバックは仕様により現在は受け付けられなくなっております。
＊コメント書き込み後にリロードされますと、投稿がダブってしまいますのでご注意ください。コメントを読みたい方は、お手数ですがいったんブラウザを閉じるか、トップページに戻ってから改めて記事の「Comment」をクリックしてください。
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Commented on 2007/02/02 Friday 11:34:35
by yamaちゃん | コメント編集
「遊び」について、かづみさんは「今」を詠まれ、美輪さんは「子供の頃」を詠まれていますね。
不思議なことに、お互い全く打ち合わせナシで書いてるんですが、重ならないんですね～。
>大人も子供も、「遊び」を失ってきている現代、心が病んでいるような気がします。
「遊びをせんとや生まれけん、戯れせんとて生まれけん」……『梁塵秘抄』の歌を思い出しますね。大人も子供も、遊びを忘れてしまっては硬直した人間関係しか築けないのではないでしょうか。
Responsed on 2007/02/02 Friday 18:55:07
by 美輪＠brownycat＠管理者
そういえば、友だちの話しなんだけどね…
なんて、だれか別のひとのできごとにしてしまいたいような、遊び上手なひとの嘘にのせられてしまったようなこと。それも経験、なのでしょうか。＾
Commented on 2007/02/02 Friday 15:37:49
by さえら | コメント編集
「遊び」の種類もいろいろ。大人に勧められる「いい遊び」も、それなりにおもしろいけど、たいてい「悪い遊び」ほど魅力的なのよね～。
いざ狂えうすむらさきのうさぎたち 美輪
Responsed on 2007/02/02 Friday 18:57:31
by 美輪＠brownycat＠管理者
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