現代川柳26号特集「明日への祈りⅡ～東日本大震災川柳その後」

雑誌「現代川柳」２６号では、このたび東日本大震災川柳を特集しました。
「現代川柳」では昨年４月、臨時増刊号として東日本大震災川柳集「明日への祈り」を刊行しておりますが、１年４ヶ月余りが経過した今、再び本誌の中で特集を組みました。
きっかけは、たまたまwebで本誌のHPをご覧になった方から震災川柳を寄せていただいたことですが、それを拝見して、改めて「このままあの震災を風化させてはならない」という思いが強くなりました。
阪神淡路大震災の後、私たち被災地の人間が一番辛かったのは、一年二年と経つうちに被災地以外の地方ではどんどん震災を「過去のもの」として扱うようになっていくことでした。復興が進んでいるところももちろんある。けれど一方で、少しも進まないところもあり、どんどん取り残されていく焦燥感や孤独に歯がゆい思いを募らせました。
東北の被災地でも、同じような思いをされている方がきっといる。そう感じました。

今回は昨年のように大々的に呼びかけてはいませんが、それでも会員・誌友をはじめとする４０名余りの方が、短期間の間に震災をテーマとする川柳を寄せてくださいました。その作品の一部をご紹介します。

恐ろしい国家が孕む原発群　　　　佐藤岳俊（岩手）

真実を歩めばきっと空は青　　　　　香月みき（大阪）

復興はまだまだまだと走るバス　　　　茉莉亜まり（兵庫）

手なずけたはずのアトムが牙をむき　　　　浅野志郎（神奈川）

胸を張る日本の平和努力する　　　　　　加島　修（鳥取）

寝ても覚めても地球の頭痛余震あり　　　　金子喜代（神奈川）

夢だよと言ってあげたいもらいたい　　　　成山ひとみ（兵庫）

ふるさとをたぐり寄せれば歌になる　　　　別所花梨（島根）

福島へやっとやっとのツアー客　　　　　大黒たまき（兵庫）

震災一年　こぼれるほどの花水木　　　　　岸本きよの（兵庫）

待つ人に帰らぬ人の山と居る　　　　　　　中村こうじ（兵庫）

母は子を子は母を呼ぶ夏の沖　　　　　　田中日出夫（大阪）

愛と絆を円に換算今日のニュース　　 安斎みぎわ（福島）

地震列島今度は何処か阿弥陀くじ　　井上　哲（兵庫）

がんばれだって。ガレキウケイレ拒否だって。　夕　凪子（大阪）

福島は「フクシマ」になるのですか　　　中野文擴（兵庫）

ほんものの絆求めて百の鳩　　　渡辺美輪（兵庫）

 

この号の売上の一部は、「明日への祈り」同様に、東日本大震災の被災地への義援金とさせていただく予定です。
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