川柳2011/1/17

午前五時四十六分～阪神淡路大震災に寄せて～


暁の街 サイレンが鳴り響く

午前五時四十六分からひとり

誕生日だったとやっと思い出す

変わらないものなどないとこおろぎよ

一・一七遠い記憶にまた出会う

題詠100題

川柳ブログとしての体裁を保つためってわけじゃないですが（汗）、題詠百句にチャレンジしました。

題はこちらからいただきました。ありがとうございました。



001:春


鶯が鳴いているから春なのだ


002:暇


ペンダントぶらぶら暇を持て余す


003:公園


公園のベンチ誰かを待ちぼうけ


004:疑


君に会うまた疑いは晴れぬまま


005:乗


駅前のタクシー今日も乗車拒否


006:サイン


ブロックサイン君を誰にも渡さない


007:決


決断はすぐに揺らいでハンモック


008:南北


南風北風君を見失う


009:菜


夏野菜たっぷり食べてまたひとり


010:かけら


歩き出す星のかけらを手に入れて


011:青


青白く光る蛍もわたくしも


012:穏


穏やかに話せるまではあと幾日（いくひ）


013:元気


元気です だからしばらくそばにいて


014:接


立ち止まる君と私の接点で


015:ガール


シンデレラガールに戻る日曜日


016:館


伯爵の館は深い森の中


017:最近


最近はとんと見かけぬ白い鳩


018:京


はんなりと私を拒む京ことば


019:押


暗闇を力いっぱい押し戻す


020:まぐれ


いつだって君は気まぐれ夕まぐれ


021:狐


子狐のしっぽふさふさ母を追う


022:カレンダー


カレンダー通りに休む目も耳も


023:魂


魂の抜けたみたいな顔をして


024:相撲


紙相撲しっかりしなきゃ倒れます


025:環


環太平洋造山帯をひと巡り


026:丸


まんまるな目をした猫がうずくまる


027:そわそわ


夏休み何をそわそわしているの


028:陰


山陰（やまかげ）に隠れて君を待ちうせる


029:利用


利用してあげる活用してあげる


030:秤


天秤にかけてどちらになさいます


031:SF


SFのようにあなたが現れる


032:苦


苦労して笑顔を作る君の前


033:みかん


負け惜しみ酸っぱいみかん食べながら


034:孫


子も孫も要らぬと決めて天高し


035:金


わたくしを試して光る金の斧


036:正義


正義感あふれる人といて疲れ


037:奥


君の目の奥で笑っていたかった


038:空耳


君の声 空耳ですか恋ですか


039:怠


追いかける仕事も家事も怠って


040:レンズ


あきらめてメガネのレンズ入れ替える


041:鉛


ぼんやりと見上げる鉛色の空


042:学者


自己分析にわか学者に成り済まし


043:剥


ポスターを剥がして壁とご対面


044:ペット


聞き分けの悪いペットのように泣く


045:群


街中を埋め尽くさんと蟻の群れ


046:じゃんけん


じゃんけんに勝ってしばらく青い空


047:蒸


蒸し暑い夏であなたと距離を置く


048:来世


来世では逢えない人に逢いに行く


049:袋


ゴミ袋いっぱいにする物思い


050:虹


ため息は虹の七色雨の午後


051:番号


携帯の番号変えて君を絶つ


052:婆


時は流れる私たちまちお婆さん


053:ぽかん


何思うぽかんと口を開けたまま


054:戯


戯れのようにあなたにさようなら


055:アメリカ


口笛を吹いて気分はアメリカン


056:枯


ありったけ声を枯らして君を呼ぶ


057:台所


凶暴な思い抑えて台所


058:脳


右脳から左脳へ駆け抜ける思い


059:病


病院の廊下を走る白い影


060:漫画


恋なんて 少女漫画じゃあるまいし


061:奴


ありふれた悩みぷるんと冷奴


062:ネクタイ


ネクタイを締めて仕事に戻る君


063:仏


嘘ばかりついて男の喉仏


064:ふたご


私たち似てないふたごみたいだね


065:骨


ゆっくりと撫でるあなたのあばら骨


066:雛


雛鳥は旅立つ時を待っている


067:匿名


匿名希望君を知らないふりをして


068:怒


静かなる怒りを秘めて宝貝


069:島


君がいなければこの世は無人島


070:白衣


白衣さえ着れば天使になれそうな


071:褪


あなたへの思いたちまち色褪せる


072:コップ


水一杯コップ一杯あればいい


073:弁


駅弁の味しみじみと始発駅


074:あとがき


あとがきに書いてはならぬ君のこと


075:微


好き嫌い微妙な時が揺れ動く


076:スーパー


スーパーの惣菜食べて元気です


077:対


いい加減一対一で話しましょう


078:指紋


わたくしの指紋の残る部屋を出る


079:第


第一も第二も第三もあなた


080:夜


真夜中は続くあなたがいなければ


81:シェフ


この料理だけは一流シェフの腕


082:弾


私から君をびしっと弾き出す


083:孤独


ブランデーグラス孤独を噛み締めて


084:千


千羽鶴千の願いを羽ばたかせ


085:訛


ふるさとの訛に染まる三が日


086:水たまり


もういいわ ポンと跳び越す水たまり


087:麗


真剣勝負しばし忘れて春うらら


088:マニキュア


マニキュアの指ひらひらと君を呼ぶ


089:泡


石鹸の泡に包んで捨てましょう


090:恐怖


恐ろしいもの あなたへのこの思い


091:旅


まだ旅を続ける意味が見つからぬ


092:烈


鮮烈な記憶残して彼岸花


093:全部


会いに行く持ち物全部投げ捨てて


094:底


大切なものは南の海の底


095:黒


カラスかあかあ黒い翼を持て余す


096:交差


あなたへの思い立体交差点


097:換


簡単に指輪交換してひとり


098:腕


腕枕腕の重さに耐えている


099:イコール


君プラス私イコール愛である


100:福


幸福な結末願いまた明日

川柳2010/6/26

夢の夢～DOI2010～

煙突を磨いて少女誇らしげ
白鳥になるまで少年は走る

タンバリン踊り明かして夢心地
紫のベールに透ける君の笑み
衝撃の黒い瞳が駆け抜ける
タンゴジェラシー引き寄せられて戸惑って
ジャズピアノ夜はあなたのためにある
人形は深く妖しくなお甘く
アラベスク奏でる柔らかな手足
氷上に描いた夢の夢の夢
 

 

川柳2010/6/3

モスクワの祈り～浅田真央「鐘」によせて～

新しい時代をひらく鐘の声
押し寄せる重低音に身を任す
モスクワの祈りをはこぶ赤い鳥
真実はひとつ　大きく息ひとつ
差しのべた両手の先に光あれ

川柳2010/5/28

傲慢な男～高橋大輔「eye」によせて～

時々はあなたのことを思うふり
熱いまなざしで心を鷲づかみ
真剣な顔して肩を抱き寄せて
160秒嵐のように駆け抜ける
美しい男の傲慢なリード
 

川柳2010/5/23

大雨警報

大雨の中であなたを待ちわびる
傘を差してもレインコートを羽織っても
警報が鳴っているからそばにいて
ざんざんとざんざんざんと胸騒ぎ
外出厳禁ひたひた夜は更けてゆく

川柳2010/3/13

かもめ飛べ～夙川吟行より～

一つ橋渡る別れが見えてくる
ゆりかもめゆらゆら私帰ります
キャッチボールに疲れた公園の親子
待っていてあの信号が変わるまで
誰も知らない砲台のがらんどう
ハーバーのヨットゆらゆら春うらら
酒蔵を巡り巡って君に酔う
まだ走るのか三月の福男
埋め立てて私の町が出来上がる
あの海の向こうにも海 かもめ飛べ

川柳2010/2/19

銅メダル～高橋大輔選手に捧ぐ～

堂々とオリンピックの大舞台
張りつめた空気ピエロが和らげる
チャレンジを続ける君はアスリート
滑る喜びがあふれて止まらない
舞い終えてガッツポーズを繰り返す
長い長い道をここまで来たんだね
銅メダルきらりと青年の涙

川柳2010/1/17

神戸から

ひっそりと今年も明ける誕生日
震災の記憶かすかになりにけり
神戸から届けるあなたへの思い
本物の星を見つけてあげましょう
きらきらと輝く真冬日の氷

 

川柳2010/1/7

七草

せりなずな何はなくとも七日粥
お茶碗と箸　やっぱり日本人
これ以上もうぜいたくは言わないよ
明日にはみんな忘れてしまうだろう
ホウロウの鍋ことことと白い湯気