忍者ブログ

川柳つれづれblog

*毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。

<< | 2024/04 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 | >>

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

川柳大学終刊

「時実新子の川柳大学」終刊が発表された。
創刊11年半。今年の8月号、140号でその歴史を閉じることになる。

阪神淡路大震災の年、新子先生は、20年主宰をつとめた雑誌「川柳展望」と決別し、新しい雑誌を作ることを決めた。
その年の9月、先生の自宅で開かれたサロン句会。その句会こそ、私が初めて参加した川柳の句会だった。その場に居合わせたメンバーで初代の神戸事務局を編成、神戸市中央区に事務所を構えて「川柳大学」はスタートする。私はまさに、川柳大学とともに川柳の道を歩み始めたのだ。

神戸事務局はとてもアットホームだった。狭いワンルームでお尻をつき合わせて、みんなきゃいきゃいと編集事務に取り組んだ。
編集作業の多くは、地道で地味な単純作業だ。毎月の会費・誌代を確認しては名簿を整理し、宛名シールを封筒に貼り、都道府県別に並べて発送の準備をする。一方で毎日投句用紙やハガキや原稿を整理し、原稿を読みやすくリライトし、印刷所や事務所で一字一句校正する。雑誌が出来上がったら今度は一冊一冊封筒に入れ、ホチキスで留めてまた都道府県別に並べる。集配に来てもらえるようになるまで、郵便局へ運ぶのも一苦労だった。数ヵ月後第三種の認可が下りたときの嬉しかったこと。大会の準備と発送の準備が重なると、もうみんな大騒ぎだったな。
事務局のメンバーは、私以外はそうそうたる面々。実作面で、あるいは川柳研究の面で、関西川柳界でも名を知られた人々ばかりだった。
そんな中、他の事務局メンバーより少し年の離れた私は、新子先生の「末娘」というより「事務局みんなの娘」のような存在だった。川柳のことは何も知らない、怖いもの知らずのはねっかえり娘。私はみんなからいろいろなことを教わった。私もみんなに心を許して何でも相談した。新子先生・六郎編集長を中心に、私たちは家族のように和気あいあいと雑務を楽しんだ。
やがて六郎先生が体調を壊し、編集作業を東京に移すことになって、神戸事務局は解散する。そして東京から届くようになって5年。新子先生を失って、とうとうこの夏、川柳大学そのものもなくなってしまう。

神戸事務局がなくなった時も寂しかったけれど、それでも発表母体はしっかりとしていた。川柳大学という柱を中心に、みんなお互いに支えあい、助け合ってきた。でも、今度は発表の母体そのものがなくなってしまう。みんな行き場をなくしてしまう。
もともとどこかの結社に属していた人の多くはそこに戻っていくだろう。しかしどこにも属していない、行き場のない人は……。
私は川柳大学で、新子先生の直弟子として、純粋培養で育ってきた。他の結社は何も知らない。どこともつながりがない。新子先生を失った今、どこにも行き場がない。

私はどこにも行くつもりはない。新子先生がそうだったように、私は私の川柳を歩めばいい。
傲岸だと言われようと、不遜だと言われようと、私は私の川柳をめざす。他の誰でもない、私だけの川柳をめざす。
それこそ新子先生の望みだと信じて、私は歩む。やがて私の足跡が、そのまま私の川柳となる日まで。

  はるかなる道をめざして五七五  美輪

拍手[0回]

PR
Re:川柳大学終刊
こんばんは
少し体調を崩していたのでしばらくです。
読んでいて泣けてきてしまいました。
昔はここまで涙腺は弱くなかったのですが、すぐりんのせいで弱くなったようです。
生きることは出逢いと別れの連続とも言った人がいますが、美輪さんは新子先生と川柳がご縁で知り合えたことは人生の宝だと思います。

道は一つでなくて、また人それぞれ。
自分の道は自分しか歩けないから、それは全て正しい道だと思います。

Commented on 2007/05/28 Monday 21:03:00

by えっくす | コメント編集

Re:Re:川柳大学終刊
>えっくすさん

体調はいかがですか?
真夏の暑さだったり涼しかったり、私の周りでも体調を崩す人が多いです。どうぞお大事に。

>読んでいて泣けてきてしまいました。
>昔はここまで涙腺は弱くなかったのですが、すぐりんのせいで弱くなったようです。

私も自分で書いておきながら、泣いてしまって困ります(苦笑)。
今年はやっぱり涙腺がゆるむことが多くてね……。

>生きることは出逢いと別れの連続とも言った人がいますが、美輪さんは新子先生と川柳がご縁で知り合えたことは人生の宝だと思います。
>道は一つでなくて、また人それぞれ。
>自分の道は自分しか歩けないから、それは全て正しい道だと思います。

ええ、そうですね。
私は私の道を歩むしかないのだと思います。
これから先、迷ったり行きづまったりすることもあるかもしれませんが、それでも歩き続けようと思います。
いつも新子先生がそばにいてくださると信じて。

Responsed on 2007/05/28 Monday 21:17:28

by 美輪@brownycat@管理者

Re:川柳大学終刊
こんばんは

美輪さんの寂しさお察し申し上げます。
今年は、新子先生を亡くされ、さらに発表母体の川柳大学まで失われてさぞお寂しいことと思います。
こういう時って、昔の楽しかったとき思い出しますよね、あの頃に戻りたいとも。

でも、本当に母体失くされたんでしょうか?
美輪さんの文読ませていただくと、形は違っても、美和さんは先生と同じ道歩んでおられるように感じました。
川柳展望をと決別し先生が川柳大学を起こされたように、美輪さんも今、川柳大学を卒業し新たなステージに進まれているのではないですか?

文壇のこと良くわかりませんが(川柳が文壇に属するかどうかも良くわかりませんが)、発表の場って「本」の形態をとらなければいけないのでしょうか?
今おやりになっている、このブログ自体、美輪さんの発表のステージと捉えているのは多分私だけではないはずです。

世の中、進歩が加速度的に進み従来の価値観が変わって来ています。また、今まで不可能なことが可能になっています。何をおやりになるにしても、志(芯)がぶれていなければ私はそれでいいと思います。

>傲岸だと言われようと、不遜だと言われようと、私は私の川柳をめざす。他の誰でもない、私だけの川柳をめざす。
それこそ新子先生の望みだと信じて、私は歩む。やがて私の足跡が、そのまま私の川柳となる日まで。

多分、すでに足跡は美和さんの川柳となり、そして多くの人に影響を与えています。


Commented on 2007/05/28 Monday 22:58:21

by クッツ | コメント編集

Re:Re:川柳大学終刊
>クッツさん

>美輪さんの寂しさお察し申し上げます。
>でも、本当に母体失くされたんでしょうか?
>美輪さんの文読ませていただくと、形は違っても、美和さんは先生と同じ道歩んでおられるように感じました。
>川柳展望をと決別し先生が川柳大学を起こされたように、美輪さんも今、川柳大学を卒業し新たなステージに進まれているのではないですか?

>今おやりになっている、このブログ自体、美輪さんの発表のステージと捉えているのは多分私だけではないはずです。
>何をおやりになるにしても、志(芯)がぶれていなければ私はそれでいいと思います。

>多分、すでに足跡は美和さんの川柳となり、そして多くの人に影響を与えています。

いえ、まだまだです。
川柳はそんなに甘くない。私の道はまだ始まったばかりです。
ブログという形態もひとつの形ですが……今までこのブログで発表してきた川柳は、雑誌に出してきたものよりも「わかりやすい」「軽い」ものです。それは「川柳を知らない人にも親しんでもらえる作品」が中心でした。
これからは、もっと自分に厳しくならないといけないでしょう。ただ自作を発表するだけの一方通行で終わらないようにしなくてはならない。自己満足で終わらないようにしなくては……。そう思います。

Responsed on 2007/05/29 Tuesday 04:35:32

by 美輪@brownycat@管理者

Re:川柳大学終刊
>はるかなる道をめざして五七五
何だかとっても好きです

うまくいえなくて申し訳ないのですが美輪さんの進まれる道にはきっと何かあると思う

ひそかに応援しています

Commented on 2007/05/28 Monday 23:06:45

by ザルツ | コメント編集

Re:Re:川柳大学終刊
>ザルツさん

>>はるかなる道をめざして五七五
>何だかとっても好きです
>うまくいえなくて申し訳ないのですが美輪さんの進まれる道にはきっと何かあると思う
>ひそかに応援しています

ありがとうございます。
きっとまだまだこれから、いろいろと辛いことが待っていると思いますが……頑張ります。

Responsed on 2007/05/29 Tuesday 04:37:02

by 美輪@brownycat@管理者

Re:川柳大学終刊
川柳大学誌友にさせていただきこの8月でちょうど一年になります。川柳の「せ」の字も知らないまま、Toshiちゃんとのご縁で美輪さんのブログも拝見させていただくようになりました。拙い句ですが一句「わずか一年されど一年ありがとう」。美輪さんこれからもすてきな川柳を聞かせてください。

Commented on 2007/05/29 Tuesday 09:53:40

by yamaちゃん | コメント編集

Re:Re:川柳大学終刊
>yamaちゃんさん

>川柳大学誌友にさせていただきこの8月でちょうど一年になります。川柳の「せ」の字も知らないまま、Toshiちゃんとのご縁で美輪さんのブログも拝見させていただくようになりました。拙い句ですが一句「わずか一年されど一年ありがとう」。美輪さんこれからもすてきな川柳を聞かせてください。

  一年の重さを知って五月尽  美輪
ありがとうございます。もうすぐ最後の全国大会。新子先生の愛した川柳大学の最後を、しっかりと見届けようと思います。

Responsed on 2007/05/29 Tuesday 18:36:16

by 美輪@brownycat@管理者

Re:川柳大学終刊
物事が変わっていってしまうことを、決してあきらめではなくて、受け入れる(または受け止める?)ことが、ちょっとはできるようになったのは、大人になったというか、年を取ったからかなと思う、今日この頃の私です。と言ってもほぼ毎日、ジタバタしながら生きてますが。

美輪さんはもう、気持ちの整理をつけようとしているようなので、何と言葉をかけたらよいのか迷いますが、新子先生という核を失った川柳大学が終わりを迎えることを、どこかで覚悟していたのではないですか。カタチだけで続けるよりは…と。
それだけ先生が偉大だったということでしょうね。
さみしいことではありますが、新しい道を歩きなさいという、天国から新子先生の采…と言ったら、やっぱり潔すぎ、カッコつけ過ぎか(笑)

本というカタチで定期的に発行していくことは、大変な労力(&経費)です。ここ5年、10年あらゆるものがネットへ以降する中、それはますます困難になってきたようにも思います。
ネット上のこのブログおかげで、美輪さんやたくさんのスケートファンと巡り会えたこと、すごくうれしい反面、コミュニケーションの手段自体が過渡期あることを強く意識せざるをえません。
しかし、伝える手段が変わっていっても、美輪さんの伝えたい、表現したい気持ちが変わらない限り、大丈夫…そんな風にも思います。

どこにも属さずか…自分で選んだ、美輪さんらしい道ですね。
でも決してひとりぼっちではないことは言うまでもありませんね。たくさんの人が、もちろん私も応援してますよ。

川柳って翻訳できないんですね。
それと五七五も、全部足して17文字も、川柳も俳句も短歌も…素数なんですよね。1でしか割り切れない文字数。ここにナニカ深〜いヒミツがある…ような気がします。

どうしても一でしか割り切れない五七五

Commented on 2007/05/29 Tuesday 11:38:05

by ニルギリ | コメント編集

Re:Re:川柳大学終刊
>ニルギリさん

>美輪さんはもう、気持ちの整理をつけようとしているようなので、何と言葉をかけたらよいのか迷いますが、新子先生という核を失った川柳大学が終わりを迎えることを、どこかで覚悟していたのではないですか。カタチだけで続けるよりは…と。
>それだけ先生が偉大だったということでしょうね。
>さみしいことではありますが、新しい道を歩きなさいという、天国から新子先生の采…と言ったら、やっぱり潔すぎ、カッコつけ過ぎか(笑)

そうですね……先生が闘病生活に入られてから「もし先生がいなくなったら」ということを考えなかったと言ったら嘘になります。
何年も前、先生がお元気だったとき、事務局みんなで「新子の後」について話したことがありますが、やはり結論は出ませんでした。

>本というカタチで定期的に発行していくことは、大変な労力(&経費)です。ここ5年、10年あらゆるものがネットへ以降する中、それはますます困難になってきたようにも思います。
>ネット上のこのブログおかげで、美輪さんやたくさんのスケートファンと巡り会えたこと、すごくうれしい反面、コミュニケーションの手段自体が過渡期あることを強く意識せざるをえません。
>しかし、伝える手段が変わっていっても、美輪さんの伝えたい、表現したい気持ちが変わらない限り、大丈夫…そんな風にも思います。

そうですね……ネットという形態をどう利用するか。川柳のみならず、これは今後の文芸の課題になりそうです。

>どこにも属さずか…自分で選んだ、美輪さんらしい道ですね。
>でも決してひとりぼっちではないことは言うまでもありませんね。たくさんの人が、もちろん私も応援してますよ。

ありがとうございます。ええ、私はひとりではありません。
川柳大学の仲間も、決してこのままバラバラになってしまうばかりではないと思います。きっと何らかの形で、新子先生を介してめぐりあった縁を生かしていこうとするでしょう。

>川柳って翻訳できないんですね。
>それと五七五も、全部足して17文字も、川柳も俳句も短歌も…素数なんですよね。1でしか割り切れない文字数。ここにナニカ深〜いヒミツがある…ような気がします。
>どうしても一でしか割り切れない五七五

「一かける一は一です独りです」という句を昔作ったことがあります。
翻訳できないニュアンスも、独特のリズムも、川柳の魅力のひとつ。
 割り切れぬ思いを託し五七五  美輪

Responsed on 2007/05/29 Tuesday 18:49:58

by 美輪@brownycat@管理者

Re:川柳大学終刊
気の利いた言葉は書けませんが、私も皆様が書かれている事と同様に思います。
川柳素人ですが陰ながら(遠くから)応援しています。

Commented on 2007/05/29 Tuesday 20:18:57

by mikei | コメント編集

Re:Re:川柳大学終刊
>mikeiさん

>気の利いた言葉は書けませんが、私も皆様が書かれている事と同様に思います。
>川柳素人ですが陰ながら(遠くから)応援しています。

ありがとうございます。
この先辛いことがあっても、みなさんの応援を力にして、頑張っていきます。

Responsed on 2007/05/29 Tuesday 20:31:39

by 美輪@brownycat@管理者

この記事にコメントする







  Vodafone絵文字入力用パレット表示ボタン i-mode絵文字入力用パレット表示ボタン Ezweb絵文字入力用パレット表示ボタン

この記事へのトラックバック




カレンダー
03 2024/04 05
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新コメント
*管理者がコメントに返信すると[RES有]となります。
Mie onジュネーブ珍道中2 [RES有]
(05/08)
美輪@管理人 onAOIチューリヒ公演!
(02/23)
ジエンヌ onチューリヒなう! [RES有]
(02/07)
エミリ on大ちゃん。。。
(10/15)
や・よ・い on大ちゃん。。。
(10/14)
最新TB
QRコード
広告
gooリサーチモニターに登録!

対戦花札や大富豪、カジノゲームで稼げるポイントバックサイト│ドル箱

プロフィール
HN:
美輪@brownycat
性別:
女性
自己紹介:
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式HP管理人。
ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC(神戸新聞文化センター)川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。

*神戸新聞2008/1/1~7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら

大ちゃんのリンクを守ろう!詳しくはこちら
*リンクの再開・存続が決定しました。


大阪のリンクを守ろう! 詳しくはこちら
*存続が決定しました。今後ともご支援ご協力お願いいたします。


*ここに掲載している川柳作品・文章はすべて私のオリジナルです。著作権法に基づき、無断転載ならびに無断引用は固くお断りいたします。

*コメントはどうぞ御自由に。トラックバックは仕様により現在は受け付けられなくなっております。

*コメント書き込み後にリロードされますと、投稿がダブってしまいますのでご注意ください。コメントを読みたい方は、お手数ですがいったんブラウザを閉じるか、トップページに戻ってから改めて記事の「Comment」をクリックしてください。

*コメントの削除は管理人以外できません。削除ご希望は管理人にお申し出ください。

*メールでのご連絡はこちら

*Twitterはこちら
ついったー
カウンター
ブログ内検索
マイストア2
おすすめ川柳本のストアです。
現在のおすすめ本です。

その他の商品はこちら
BOOKS
*最近読んだ本です。


間違いの悲劇


*エラリー・クイーン最後の作品、というよりは作品のための梗概「間違いの悲劇」。これが完成した姿を見たかったですねえ……。ほかにもクイーン検察局シリーズとか、パズルクラブシリーズなどが載っていて、なかなか楽しいです♪



AMAZON




























AdminControlMenu: AdminMenu | NewEntry | EditComment | EditTrackback

忍者ブログ [PR]