川柳つれづれblog
＊毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。
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川柳タッグマッチ（９）クリスマス
川柳仲間・徳道かづみとの競作による川柳＆エッセイ「川柳タッグマッチ」。
第9回のお題は「クリスマス」。これは新聞連載時、12月掲載だったためにこういうテーマとなりました。今ブログに掲載するにはちょっと時期がずれてますが、まあそこはそれ、ご愛嬌ということで……。
第9回のお題は「クリスマス」。これは新聞連載時、12月掲載だったためにこういうテーマとなりました。今ブログに掲載するにはちょっと時期がずれてますが、まあそこはそれ、ご愛嬌ということで……。
◇先攻・かづみ
恋をする者に聖夜が訪れる かづみ
二十代前半の私は某企業の社員食堂でバイトをしていた。十人ほどのバイトでシフトが組まれていたが、問題は十二月に起こった。クリスマスに他人の茶碗を洗いたい人間はいない。バイト仲間で猛烈な押し付け合戦が勃発し、「彼氏のいない二人」が負けた。私はその一人だった。
二人は協定を結んだ。「イブまでに彼氏が出来たらサボってよし」。更に「相手を恨まない」という特約条項も設けた。
だが世の中は甘くない。結局私はバイトに向かった。相棒は来ているだろうか。怯えながら更衣室に入ると、相棒は既にエプロンに着替えていた。聞けば彼女も疑心暗鬼でいたという。女の友情は「走れメロス」にはならないらしい。その年のイブは、バイト終了後彼女と夜通し騒ぎ回った。
恋人と過ごした年もある。一人でスルメを噛んでいた年もある。様々なイブを過ごして二〇〇五年、近藤真彦ディナーショーのチケットが届けられた。日付は12月24日。そうクリスマス・イブ。最高の夜(イブ)を過ごせそうだ。
不器用なサンタが臍を掻いている かづみ
◇後攻・みわ
悪人になれそうもないクリスマス 美輪
クリスマスが近づくと、街はどんどん軽薄になる。神戸なんぞに暮らしていると、どこもかしこもカップルだらけ。独り者には殊の外、寒さが身にしみる季節である。
神戸のクリスマスといえばルミナリエ。これももともとは、震災の鎮魂のためのものだった。しかし年を追うごとに派手になり、宗教的意義なんてとんと忘れ去られ次第に世俗化されて、今やすっかり「年中行事」と化した。地元の人間はほとんど行かず、神戸の冬を満喫しようとやってくる家族連れやカップルたちでごった返している。
いいんだけどね。私だって信心なんて、これっぽっちもありゃしない。それに、派手に飾ってたっぷり宣伝し、どんどん客を引き寄せようという逞しさは、それだけ神戸が元気になったという証でもあるんだしね。
それでも十年前の冬、震災の傷が色濃く残る三宮・元町界隈をバックに輝くルミナリエは、悲しいまでに美しかった。あの日あの時、泣きながら歩いた光の回廊を、私は一生忘れないだろう。
傷口を隠して歩くルミナリエ 美輪
恋をする者に聖夜が訪れる かづみ
二十代前半の私は某企業の社員食堂でバイトをしていた。十人ほどのバイトでシフトが組まれていたが、問題は十二月に起こった。クリスマスに他人の茶碗を洗いたい人間はいない。バイト仲間で猛烈な押し付け合戦が勃発し、「彼氏のいない二人」が負けた。私はその一人だった。
二人は協定を結んだ。「イブまでに彼氏が出来たらサボってよし」。更に「相手を恨まない」という特約条項も設けた。
だが世の中は甘くない。結局私はバイトに向かった。相棒は来ているだろうか。怯えながら更衣室に入ると、相棒は既にエプロンに着替えていた。聞けば彼女も疑心暗鬼でいたという。女の友情は「走れメロス」にはならないらしい。その年のイブは、バイト終了後彼女と夜通し騒ぎ回った。
恋人と過ごした年もある。一人でスルメを噛んでいた年もある。様々なイブを過ごして二〇〇五年、近藤真彦ディナーショーのチケットが届けられた。日付は12月24日。そうクリスマス・イブ。最高の夜(イブ)を過ごせそうだ。
不器用なサンタが臍を掻いている かづみ
◇後攻・みわ
悪人になれそうもないクリスマス 美輪
クリスマスが近づくと、街はどんどん軽薄になる。神戸なんぞに暮らしていると、どこもかしこもカップルだらけ。独り者には殊の外、寒さが身にしみる季節である。
神戸のクリスマスといえばルミナリエ。これももともとは、震災の鎮魂のためのものだった。しかし年を追うごとに派手になり、宗教的意義なんてとんと忘れ去られ次第に世俗化されて、今やすっかり「年中行事」と化した。地元の人間はほとんど行かず、神戸の冬を満喫しようとやってくる家族連れやカップルたちでごった返している。
いいんだけどね。私だって信心なんて、これっぽっちもありゃしない。それに、派手に飾ってたっぷり宣伝し、どんどん客を引き寄せようという逞しさは、それだけ神戸が元気になったという証でもあるんだしね。
それでも十年前の冬、震災の傷が色濃く残る三宮・元町界隈をバックに輝くルミナリエは、悲しいまでに美しかった。あの日あの時、泣きながら歩いた光の回廊を、私は一生忘れないだろう。
傷口を隠して歩くルミナリエ 美輪
（神戸新聞夕刊2005年12月21日掲載）
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美輪＠brownycat
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性別：
女性
自己紹介：
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式ＨＰ管理人。
「ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC（神戸新聞文化センター）川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。
＊神戸新聞2008/1/1～7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら
＊大ちゃんのリンクを守ろう！詳しくはこちら
＊リンクの再開・存続が決定しました。
＊大阪のリンクを守ろう！ 詳しくはこちら
＊存続が決定しました。今後ともご支援ご協力お願いいたします。
＊ここに掲載している川柳作品・文章はすべて私のオリジナルです。著作権法に基づき、無断転載ならびに無断引用は固くお断りいたします。
＊コメントはどうぞ御自由に。トラックバックは仕様により現在は受け付けられなくなっております。
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川柳タッグマッチを何度か拝見させていただきました。それで、いつも思うのですが、川柳もいいけど、それにまつわるエッセイも面白いなぁと思います。次回も楽しみにしております。
Commented on 2007/01/19 Friday 20:45:59
by adman | コメント編集
ようこそ、いらっしゃいませ(^o^)丿
>川柳タッグマッチを何度か拝見させていただきました。それで、いつも思うのですが、川柳もいいけど、それにまつわるエッセイも面白いなぁと思います。
わははは（＾◇＾）そう言っていただければ幸いです。
そもそもこのコーナーは「川柳ってもともとおもしろいものだけど、お気楽なエッセイと一緒に楽しんでもらえたら、余計に楽しめるんじゃないかな？」という感じで、お気楽に書かせていただきました。
今後も「気楽に、でも真剣に」をモットーに、突っ走る所存です。ハイ。
……おーい、かづみぃ！部屋は片付いたかい？
どうやら結構好評みたいだよ～ん。そろそろ続編書こうよ～(^o^)丿
以上、業務連絡でした(笑)
Responsed on 2007/01/20 Saturday 00:37:23
by 美輪＠brownycat＠管理者
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