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川柳つれづれblog

*毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。

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川柳タッグマッチ(29)「願う」

川柳仲間・徳道かづみとタッグを組んでお送りする川柳&エッセイ「川柳タッグマッチ」。
第29回は「願う」。ちなみに去年の七夕シーズン前に書いたものです。
◇先攻・かづみ

願望を打ち砕くまで猫よ鳴け かづみ
 月に一度くらいのペースでお参りに行っている。梅田に出た時はお初天神に、なんばに出た時は水掛地蔵に。賽銭を入れて、手を合わせた時、ふと何を願おうか迷っている自分に気づく。迷った挙句「何かいいことありますように」と呟いて帰ってくるのだ。
 小さい頃は、我が家でも笹飾りを作った。私が短冊に綴ったのは「絵本が欲しい」「自転車が欲しい」…。星に願いを、というよりも“親への注文書”だ。間違われては一大事と、本のタイトルや自転車の色まで記述した記憶がある。妙なとこだけ現実的な子供だった。
 “願い”は具体的になるほど切実だ。手にしたいものはすぐそこに見えているのに、実現出来ない現実にもどかしさを覚える。
 二十歳の頃利用していた駅に大きな笹飾りがあった。自由に短冊を下げていいらしい。私は手帳を千切って自分の願いを書いた。「何かいいこと」という抽象的な願いではなかったが、実際に何を書いたかは忘れた。叶ったか確かめる術はない。
星屑よ叶って散った願いごと かづみ

◇後攻・みわ

短冊に書いてはならぬ願い事 美輪
 幼い頃、我が家の七夕の笹飾りは自給自足の手づくりだった。笹竹は父が近所の竹林から、手頃なのを切り出してくる。それに吊す飾りは、みんなで折り紙を切り貼りして作った。飾りがのりでベタベタしてたり、形が不揃いなのはご愛嬌。笹の葉や紙のせいで手は切り傷だらけ。それでも楽しくて楽しくて、家中紙屑だらけにした。
 そしてもちろん短冊。「なわとびがたくさんとべますように」「○○ちゃんとずっとなかよしでいられますように」など、他愛ないけど本人にとっては重大な願い事を書く。「ささのはさらさら」なんて歌いつつ、半紙の切れ端をこよりにして、次々と短冊を吊した。
あの頃真剣に願ったことも、今思えばはかないものばかり。なわとびなんてもう何年もやっていないし、「ずっと仲良く」と願った友だちも、今ではすっかり疎遠になった。
 それでも七夕が近づくと、何となく心が弾む。今年も商店街では、プラスチックの笹に子供たちの無邪気な願い事が揺れている。
ちちははのいのりきらきらぼしひかる 美輪

(神戸新聞夕刊 2006年7月5日掲載)

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プロフィール
HN:
美輪@brownycat
性別:
女性
自己紹介:
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式HP管理人。
ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC(神戸新聞文化センター)川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。

*神戸新聞2008/1/1~7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら

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