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川柳つれづれblog

*毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。

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川柳タッグマッチ(24)「遠い」

川柳仲間・徳道かづみとタッグを組んでお送りする川柳&エッセイ「川柳タッグマッチ」。
第24回のお題は「遠い」です。
◇先攻・みわ

踏切の向こうに見える遠い国 美輪
 子供の頃「遠くへ行きたい」という歌が好きだった。知らない町を歩いてみたい、どこか遠くへ行きたい…。
 中高生の頃は、生まれ育った町から出たくて仕方なかった。映画館も美術館も盛り場もなく、電車は単線ローカルで本数も少ない。どこへ行っても誰かに見られているような、みんな知り合いのような小さな町。そんな窮屈な田舎町を抜け出したかった。自由気ままな一人旅に憧れた時代。
乗り物酔いがひどいので一人旅願望は薄まったが、進学先はわざと遠方の大学を選んだ。希望通り故郷を離れ、念願の独り暮しを始めた時は、解放感で満たされていた。
 時は流れ、いつしか故郷での生活よりも独り暮しの方が長くなった。ふと気がつくと、今度は休みのたびに帰省することばかり考えている。あの頃とは反対に、知らない町に出かけても故郷に似た場所や知り合いに似た人を探している私。
「ふるさとは遠くにありて思うもの」ということなのか。今日も私は遠い故郷をうたい続ける。
 ちちははの声が聞こえる田舎道 美輪

◇後攻・かづみ

抱き締めて抱き締められてまだ遠い かづみ
 二十三歳の時に、突然父が亡くなった。私はその現実が信じられずに、呆然とした日を送っていた。心配してくれる友人たちに混ざって、それまで付き合いのなかった男の子が近づいてきた。
人があまりにも容易く死ぬことを見せ付けられると、何を信じればいいのかわからなくなる。私はただ優しさが欲しくてその男の子に縋りついた。
 ある日、その男の子が言った。
「僕は君の味方だから」
 その言葉を聞いて、彼の姿が急速に遠のくのが見えた。私は誰かと争っているわけではない。何を味方するというのか。そう言われた日に、彼と別れた。
普段強気な私が弱っているのが珍しかったのだろう。人の意見など聞かない女が従順になることも愉快だったのか。
 また一方で、慰めようとして言った言葉を私が穿って解釈してしまっただけなのかもしれない、と思うこともある。激怒した私も悪かったかな、とも。
でも、二度と彼に会いたいとは思わない。
 少しずつ許して遠くなるあなた かづみ

(神戸新聞夕刊 2006年5月17日掲載)

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勝手に参戦
しかじかと打ち明けられて遠くなる (さえら)

人と人との関係には、心地よいと感じる距離があるんじゃないでしょうか。
むかし、といっても高校生のころ(^^)。親しくしていた友人にもちかけられた相談。かのじょに、いろいろなことを赤裸々に語られて、しだいに、なにか、いやな言い方だけれど、うっとうしくなってきたわたし。
かじのじょがこちらに踏み込んできたんじゃなくて、わたしが踏み込みたくないところにつれていかれるような…

ひとそれぞれ、その境界線をどこに引くのか、わたしにとって、それはとてもむずかしいこのなのです。みんなどうしているんだろう。

Commented on 2007/02/09 Friday 08:42:46

by さえら | コメント編集

Re:勝手に参戦
>さえらさん

簡単なことで深まるかと思えば、簡単なことでまた崩れてしまう……。若いときは特にそうですね。年を取るにつれ、対人間の距離感というものが身についてきて、だんだん付き合い方も上手になる。一方で、若いときの「深い付き合い方」が懐かしくなったりもするんだから、人間とは勝手なものです。
  あなたとの微妙な距離を保たねば 美輪

Responsed on 2007/02/09 Friday 19:37:50

by 美輪@brownycat@管理者

Re:川柳タッグマッチ(24)「遠い」
人と人の距離、心と心の距離、
その距離感がわからなくなるときが、
よくあります。
人と人の距離がわかる地図って、
ないもんでしょうかね・・・

Commented on 2007/02/09 Friday 20:15:53

by adman | コメント編集

Re:Re:川柳タッグマッチ(24)「遠い」
>admanさん

>人と人の距離がわかる地図って、
>ないもんでしょうかね・・・

うーん。人との距離がわかる地図、あったらいいですね。
でも、一目でわからないからこそ手探りでたどり着く醍醐味というのもあるわけで。そこがまた人と人とのふれあいの楽しさかもしれませんよね。

Responsed on 2007/02/09 Friday 20:18:16

by 美輪@brownycat@管理者

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プロフィール
HN:
美輪@brownycat
性別:
女性
自己紹介:
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式HP管理人。
ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC(神戸新聞文化センター)川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。

*神戸新聞2008/1/1~7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら

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