川柳つれづれblog
＊毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。
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川柳タッグマッチ（２３）「風」
川柳仲間・徳道かづみとタッグを組んでお送りする川柳＆エッセイ「川柳タッグマッチ」。
第23回のお題は「風」です。
第23回のお題は「風」です。
◇先攻・かづみ
草の波大人になると決めた風 かづみ
「明日は明日の風が吹く」ということわざがある。終わったことにくよくよしたり、まだ分からない未来を思い悩んだりするな、という楽観的な意味合いの強いものだが、私はあまりすんなり受け入れられない。それは「今日の風は二度吹かない」という言葉と対になっていると教えられたからだ。
“チャンスは二度訪れない”とよく言われる。今日吹く風が好機であれば、その風に乗らなければ意味がない。
やって後悔するか・やらないで後悔するか。どちらが良いとは言えないが、私は基本的に前者をモットーとしている。踏み出した一歩が間違っていてもその責任は自分が負えばいいが、踏み出さなかった一歩はいつまでも胸の中で疼き続ける。
吹かないかもしれない明日の風を待つことは出来ない。今日のこの風が示唆する方向へ進みたい。進むために、全身でその“風”を感じとっていたいと思う。
ま、だからオマエは失敗ばかりしてるんだよ、と言われたら返す言葉はないんですけどね。
捨ててやるそう決めた日の強い風 かづみ
◇後攻・みわ
風は緑 遠い人へと流れゆく 美輪
駆けっこが苦手だった。50M走もマラソンも後ろから数えた方がいいくらい。その私が、どうして中学でバスケ部に入ったのか。ちっとも上達しないし、しょっちゅうケガしたり熱を出したりで、みんなの足手まとい。当然ずっと補欠のままで、試合は応援専門。下手の横好きと呆れられながらも、とにかく中学三年間、部活を続けた。
ある年、学内のマラソン大会で、部の顧問が「全員十位以内に入れ」と命令した。バスケ部員は学年に八人。陸上や他の体育会系の子も大勢いる。それで全員十位以内なんて、無茶もいいところ。
しかし真に受けた私は必死に練習し、当日も無我夢中で走った。適当に手抜きをする子たちを次々と追い越し、前へ前へと足を進める。そうしてへとへとになって、意識もうろうの状態でゴールに倒れ込んだ。
そして終わってみれば何と五位入賞。ああ、できた…ちゃんとやり遂げたんだ。バスケ部に入って初めてのことだった。
ふわり、と私をやわらかい風が包んだ。
気持ちいい風だなやっと終わったな 美輪
草の波大人になると決めた風 かづみ
「明日は明日の風が吹く」ということわざがある。終わったことにくよくよしたり、まだ分からない未来を思い悩んだりするな、という楽観的な意味合いの強いものだが、私はあまりすんなり受け入れられない。それは「今日の風は二度吹かない」という言葉と対になっていると教えられたからだ。
“チャンスは二度訪れない”とよく言われる。今日吹く風が好機であれば、その風に乗らなければ意味がない。
やって後悔するか・やらないで後悔するか。どちらが良いとは言えないが、私は基本的に前者をモットーとしている。踏み出した一歩が間違っていてもその責任は自分が負えばいいが、踏み出さなかった一歩はいつまでも胸の中で疼き続ける。
吹かないかもしれない明日の風を待つことは出来ない。今日のこの風が示唆する方向へ進みたい。進むために、全身でその“風”を感じとっていたいと思う。
ま、だからオマエは失敗ばかりしてるんだよ、と言われたら返す言葉はないんですけどね。
捨ててやるそう決めた日の強い風 かづみ
◇後攻・みわ
風は緑 遠い人へと流れゆく 美輪
駆けっこが苦手だった。50M走もマラソンも後ろから数えた方がいいくらい。その私が、どうして中学でバスケ部に入ったのか。ちっとも上達しないし、しょっちゅうケガしたり熱を出したりで、みんなの足手まとい。当然ずっと補欠のままで、試合は応援専門。下手の横好きと呆れられながらも、とにかく中学三年間、部活を続けた。
ある年、学内のマラソン大会で、部の顧問が「全員十位以内に入れ」と命令した。バスケ部員は学年に八人。陸上や他の体育会系の子も大勢いる。それで全員十位以内なんて、無茶もいいところ。
しかし真に受けた私は必死に練習し、当日も無我夢中で走った。適当に手抜きをする子たちを次々と追い越し、前へ前へと足を進める。そうしてへとへとになって、意識もうろうの状態でゴールに倒れ込んだ。
そして終わってみれば何と五位入賞。ああ、できた…ちゃんとやり遂げたんだ。バスケ部に入って初めてのことだった。
ふわり、と私をやわらかい風が包んだ。
気持ちいい風だなやっと終わったな 美輪
（神戸新聞夕刊 2006年5月10日掲載）
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プロフィール
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美輪＠brownycat
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性別：
女性
自己紹介：
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式ＨＰ管理人。
「ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC（神戸新聞文化センター）川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。
＊神戸新聞2008/1/1～7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら
＊大ちゃんのリンクを守ろう！詳しくはこちら
＊リンクの再開・存続が決定しました。
＊大阪のリンクを守ろう！ 詳しくはこちら
＊存続が決定しました。今後ともご支援ご協力お願いいたします。
＊ここに掲載している川柳作品・文章はすべて私のオリジナルです。著作権法に基づき、無断転載ならびに無断引用は固くお断りいたします。
＊コメントはどうぞ御自由に。トラックバックは仕様により現在は受け付けられなくなっております。
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でも美輪さん、結構熱い青春過ごしていたんですね。
Commented on 2007/02/07 Wednesday 22:26:02
by えっくす | コメント編集
>月も風もその時でないと味わえないものなのでしょうね。
その時その時が一番大切。若いときは一生懸命すぎて見えないこともありますが……。
>結構熱い青春過ごしていたんですね。
わははは（＾◇＾）。体力はありませんが根性はありましたね～。
今はどちらもありません（爆）。
Responsed on 2007/02/08 Thursday 04:19:39
by 美輪＠brownycat＠管理者
風ときくと、なぜか思い出す風景があります。
それは、冬の日の市ヶ谷駅。あの日は、とってもつよい風が吹いていたなぁ。すこし高くなったホームから眼下に目をやると、いつもの、しかし、だれもいない釣り堀が。水面は波立っていました。
どうしたわけか、ホームにもひとがいなくて…
なんてわたし、さびしいんだろう。
ふとそんなふうに思っているじぶんに気づき、ちょっと笑ってしまいました。
Commented on 2007/02/08 Thursday 10:38:34
by さえら | コメント編集
いつまでも心に残る風景ってありますね。
そしてそこにいた自分がいとおしくて、かなしくなることも……。
マフラーを外して風を受け入れる 美輪
Responsed on 2007/02/08 Thursday 17:11:11
by 美輪＠brownycat＠管理者
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