川柳つれづれblog
＊毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。
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川柳タッグマッチ（１２）「雪」
川柳仲間・徳道かづみとタッグを組んでお送りする川柳＆エッセイ「川柳タッグマッチ」。
第12回のお題は「雪」です（よかった、雪のシーズンに掲載が間に合って……(^_^;)）。
第12回のお題は「雪」です（よかった、雪のシーズンに掲載が間に合って……(^_^;)）。
◇先攻・みわ
やっぱり待っていられなかった雪だるま 美輪
私の生まれ育った町は、比較的雪の少ないところだ。雪だるまを作ってもせいぜい「泥だるま」にしかならない。一方母の実家は雪深い地方で、正月頃はいつも大雪に見舞われる。私は、そこで従兄弟たちが作る真っ白な雪だるまやかまくらに憧れていた。
ある年、従兄弟たちと一緒に、巨大かまくら作りに挑戦した。スコップで雪をかき集め、一輪車で運ぶ。それを少しずつ壁や天井につけ、水をかけて固めていく。丸一日かけて作ったかまくらは、ほとんど雪洞といってよいほど巨大なものだった。夜になると、みんなでかまくらに集まった。テーブルや椅子やストーブを持ち込み、みかんやお菓子を食べながら、ランプの灯りの下でトランプをしたっけ。
しかし翌朝、みんな仲良く風邪を引いてダウンした。前日の重労働で大汗をかいた上に、夜かまくらで冷えたのが原因らしい。当然、みんな大人から大目玉を食らった。
大人にとっては迷惑以外の何物でもない大雪。今の子供たちも、かまくらを作ったりするのかな。
雪うさぎただただ雪を待っている 美輪
◇後攻・かづみ
雪野原いつも未遂で終わること かづみ
寒い季節になると思い起こす古川柳がある。
男ぢゃといはれた疵が雪を知り
若い頃、義理を貫くために敵と刺し違えた古い疵。誰にも迷惑をかけぬためのたった一人の敵討ち。後で知った人々が「男じゃのぅ」と嘆じた男も静かに歳をとった。黙して語らず、自慢せず。しんしんと深まる冬の夜に疼く疵を揉みながら男は「今夜は雪になるな」と一言。ああ、粋だねっ！……というのは私の解釈。この“疵”は「喧嘩っぱやい男の無数の傷」という解釈もある。まあ、川柳は十七音字のドラマ。お好みに味わえばよい。
実は私も寒い夜には右肩の傷跡が疼く。自分で転んだ打撲の後遺症だ。特にドラマはない。
豪雪地域に生まれた私にとって“雪”は無力感を誘う存在だ。たった一晩で何処にも行けなくなる事実の前で、故郷を飛び出すことばかり考えた十代だった。
あれから十数年、故郷を離れて暮らしてきた。雪を教える疵の疼きは、私に忘れてはいけない何かも訴えているようだ。
海に雪消えるしかない夢だった かづみ
やっぱり待っていられなかった雪だるま 美輪
私の生まれ育った町は、比較的雪の少ないところだ。雪だるまを作ってもせいぜい「泥だるま」にしかならない。一方母の実家は雪深い地方で、正月頃はいつも大雪に見舞われる。私は、そこで従兄弟たちが作る真っ白な雪だるまやかまくらに憧れていた。
ある年、従兄弟たちと一緒に、巨大かまくら作りに挑戦した。スコップで雪をかき集め、一輪車で運ぶ。それを少しずつ壁や天井につけ、水をかけて固めていく。丸一日かけて作ったかまくらは、ほとんど雪洞といってよいほど巨大なものだった。夜になると、みんなでかまくらに集まった。テーブルや椅子やストーブを持ち込み、みかんやお菓子を食べながら、ランプの灯りの下でトランプをしたっけ。
しかし翌朝、みんな仲良く風邪を引いてダウンした。前日の重労働で大汗をかいた上に、夜かまくらで冷えたのが原因らしい。当然、みんな大人から大目玉を食らった。
大人にとっては迷惑以外の何物でもない大雪。今の子供たちも、かまくらを作ったりするのかな。
雪うさぎただただ雪を待っている 美輪
◇後攻・かづみ
雪野原いつも未遂で終わること かづみ
寒い季節になると思い起こす古川柳がある。
男ぢゃといはれた疵が雪を知り
若い頃、義理を貫くために敵と刺し違えた古い疵。誰にも迷惑をかけぬためのたった一人の敵討ち。後で知った人々が「男じゃのぅ」と嘆じた男も静かに歳をとった。黙して語らず、自慢せず。しんしんと深まる冬の夜に疼く疵を揉みながら男は「今夜は雪になるな」と一言。ああ、粋だねっ！……というのは私の解釈。この“疵”は「喧嘩っぱやい男の無数の傷」という解釈もある。まあ、川柳は十七音字のドラマ。お好みに味わえばよい。
実は私も寒い夜には右肩の傷跡が疼く。自分で転んだ打撲の後遺症だ。特にドラマはない。
豪雪地域に生まれた私にとって“雪”は無力感を誘う存在だ。たった一晩で何処にも行けなくなる事実の前で、故郷を飛び出すことばかり考えた十代だった。
あれから十数年、故郷を離れて暮らしてきた。雪を教える疵の疼きは、私に忘れてはいけない何かも訴えているようだ。
海に雪消えるしかない夢だった かづみ
（神戸新聞夕刊2006年1月18日掲載）
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美輪＠brownycat
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性別：
女性
自己紹介：
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式ＨＰ管理人。
「ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC（神戸新聞文化センター）川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。
＊神戸新聞2008/1/1～7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら
＊大ちゃんのリンクを守ろう！詳しくはこちら
＊リンクの再開・存続が決定しました。
＊大阪のリンクを守ろう！ 詳しくはこちら
＊存続が決定しました。今後ともご支援ご協力お願いいたします。
＊ここに掲載している川柳作品・文章はすべて私のオリジナルです。著作権法に基づき、無断転載ならびに無断引用は固くお断りいたします。
＊コメントはどうぞ御自由に。トラックバックは仕様により現在は受け付けられなくなっております。
＊コメント書き込み後にリロードされますと、投稿がダブってしまいますのでご注意ください。コメントを読みたい方は、お手数ですがいったんブラウザを閉じるか、トップページに戻ってから改めて記事の「Comment」をクリックしてください。
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＊神戸新聞2008/1/1～7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら
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あれは、たしか小学校二、三年生のころ。
近所に住む友だちとけんかをして、あしたはなんとかこらしめてやろう、と悶々とした気持ちで眠りについたわたし。そして、一夜あけ、窓をあけると東京にはめずからしい雪が…
さっそく、かのじょに電話して、１〜２センチ積もった雪のうえでおおはしゃぎ。きのうのことなど、すっかり忘れていました。
Commented on 2007/01/24 Wednesday 17:40:15
by さえら | コメント編集
確かに雪は、いろんなことを忘れさせてくれますよね(*^_^*)。
時には大切なものも……。
少しずつ雪に埋もれてゆく愛だ 美輪
Responsed on 2007/01/24 Wednesday 18:27:46
by 美輪＠brownycat＠管理者
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