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川柳つれづれblog

*毎日の川柳作品の他、大好きなフィギュアスケートやミステリ、本、映画、その他日々の出来事をつれづれなるままに……。

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翻訳はむずかしい

私は語学が苦手だ。中学高校大学と、英語では非常に苦労してきた。
発音だめ、文法だめ、単語や熟語を覚えるのも苦手。どうやら私の頭は、完全に「日本語仕様」になっているらしい。
それでも曲がりなりにも英語を学校で10年以上学んできたわけだし、一応「英語検定2級」なんつーのも持ってたりする。しかしこれも実のところ、テスト前の猛勉強でなんとかクリアした次第。……なんというか、日本の英語教育のダメっぷりを体現しているような気が……。

このブログでも、ネットの海外の記事を拾っては怪しい日本語に訳すことをたまにやってみている。
だが何しろ語学の苦手な私のこと、かなり適当ないい加減な訳である。誰がどこで何をした、といった簡単な短い文章ならともかく、長文になるともうお手上げに近い。
それでも英語ならなんとなーくわかるので、他の国の言葉の場合は自動翻訳でいったん英語に直してから訳す。しかし、この作業の間にきっと、原語の細かいニュアンスはボロボロとこぼれ落ちてしまってるんだろうな。

谷川俊太郎さんの詩集(タイトルは忘れた)で、詩本文とその英訳が一冊になった本があった。右開きすると日本語で、左から開くと英語で同じ詩が読める。すごいなぁ、お洒落だなぁと思ったが、「詩を訳す」ということにちょっと違和感を覚えたことも事実だ。
谷川さんはマザーグースなども訳しておられて、その訳は楽しくて私も大好きだ。しかし、英語で聞くマザーグースと、谷川さんの日本語で味わうマザーグースは、まったくの別物だと思う。英語で「Cat」というのと、日本語で「猫」というのと。英語で「glad」というのと、日本語で「嬉しい」というのと。英語で「I Love You」というのと、日本語で「あなたが好き」というのと。ふたつの言語の間にあるニュアンスの違いに、私は戸惑いを覚える。

かつて「川柳句集を外国語に翻訳しよう」という企画があって、英語、フランス語、中国語など、何人もの専門家が挑戦したけど結局頓挫した、という話を聞いたことがある。
たとえば新子先生の「れんげ菜の花この世の旅もあと少し」という句。この「れんげ」や「菜の花」といった花の持つ意味合いは、花の名を単純に訳しただけでは伝わらない。れんげや菜の花の咲き乱れる懐かしい風景。日本人ならわかるだろう「ふるさと」の原風景のような……。そんなところでなんとなく感じる「あと少し」という思い。でも決してそれは「すぐに死が訪れる」というわけではない。もう少し、あと少し。なんとなく余裕があり、切実な思いや死に対する恐怖のようなものは、そこにはない。これまた他の国の言語に訳すことは、非常に困難を極めるだろう。

さらに日本語には、漢字とひらがなとカタカナがある。薔薇、ばら、バラ。同じ言葉でも、表記によって味わいが異なる。また、リズムや発音、韻を踏むといった、英語ならでは、日本語ならではのことばあそび。これもそのまま訳したのでは、絶対に伝わらない。土地が違う、空気が違う、光が違う、風土が違う。日本の地で生まれた詩は、日本の地にしかない表現となる。そして同じ日本でも、関東と関西、北海道と沖縄ではまったく異なる。語学がいくら堪能でも伝えきれない微妙なニュアンス。

たった十七音字に詰まった、あふれる思い。同じ国に住む、同じ言葉を話す人にさえ、うまく伝えきれない思い。
その思いを、どこまで他の国の言葉を話す人々に伝えることができるのか。つくづく、翻訳は難しい。

  あめりかもふらんすも日本も遠い  美輪

拍手[1回]

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Re:翻訳はむずかしい
美輪さ~ん、ワタクシも語学が苦手でした。
英語だけでなく日本語(=国語)も。
(小声=どちらかというと数字のほうが得意)
川柳の外国訳のお話で思い出したのですが集英社新書から「英訳詩・百人一首 香り立つやまとごころ」というタイトルで小倉百人一首の英語対訳書が出ていますね。なかなかの名訳だそうで確かに日本語でさえ馴染みの薄かった(私だけ?苦笑)百人一首が英訳を読むことでかえって深く読み込めるような気がします。もちろん美輪さんのご指摘のように微妙なニュアンスのずれは多々存在するでしょう。が、よくぞここまで理解し(訳者はアイルランド人)適語を選択し英語の詩に仕立てたものだ、と感動しました。
ところで大ちゃん関連の動画にはいつも英語のスーパーがついていますがこの訳がなかなかこなれた簡潔な英語ですばらしいです。


Commented on 2009/06/06 Saturday 01:14:14

by kirarinne | コメント編集

Re:翻訳はむずかしい
続きです。↑を送ってから自分のコメントに恥ずかしくなって・・・(赤面)。美輪さんはことばのもつニュアンスの翻訳の難しさをといているのにねぇ。文学作品の場合はニュアンスのずれ=それは感覚の問題だったり思考回路の違いだったり、そもそも他の国では存在しないものだったり・・・、をかえって遠い国のエキゾチシズムとして訳文が楽しめる場合はよほどの名訳ということになるのでしょうか?字幕スーパーの翻訳をしていた時期がありましたが(映画のようなかっこいいものではありません)これは文学とは正反対の手法で結局何が言いたいねん、というエッセンスをどれだけ短くまとめられるかの勝負になってきます。だけれど情報は正確でなければいけない、これはこれでなかなか難しい作業です。

Commented on 2009/06/06 Saturday 01:51:12

by kirarinne | コメント編集

Re:Re:翻訳はむずかしい
>kirarinneさん

>美輪さ~ん、ワタクシも語学が苦手でした。
>英語だけでなく日本語(=国語)も。
>(小声=どちらかというと数字のほうが得意)

いえいえ、レベルが違いますって(^_^;)。何しろ英語も大学の第二外国語も赤点スレスレ、よくまぁこれで大学まで行けたな?ってレベルでしたから……(^_^;)。

>川柳の外国訳のお話で思い出したのですが集英社新書から「英訳詩・百人一首 香り立つやまとごころ」というタイトルで小倉百人一首の英語対訳書が出ていますね。なかなかの名訳だそうで確かに日本語でさえ馴染みの薄かった(私だけ?苦笑)百人一首が英訳を読むことでかえって深く読み込めるような気がします。
>文学作品の場合はニュアンスのずれ=それは感覚の問題だったり思考回路の違いだったり、そもそも他の国では存在しないものだったり・・・、をかえって遠い国のエキゾチシズムとして訳文が楽しめる場合はよほどの名訳ということになるのでしょうか?

古典文学は、現代の私達でもなかなか意味がつかみにくいところがあって、下手に現代語にすると味わいが損なわれることが多いですね。「源氏物語」もアーサー・ウェイリーの英訳は有名で、日本人でも「下手な現代語訳よりこっちのほうがよくわかる」というくらいだったり。
細かいニュアンスはどうしてもこぼれてしまいますが、それでもおおまかな全体の内容伝えることはできる。そして、それ以上に「原文の香り」とか「味わい」を伝えることができる訳は、やはり「名訳」といえるでしょうね。

>字幕スーパーの翻訳をしていた時期がありましたが(映画のようなかっこいいものではありません)これは文学とは正反対の手法で結局何が言いたいねん、というエッセンスをどれだけ短くまとめられるかの勝負になってきます。だけれど情報は正確でなければいけない、これはこれでなかなか難しい作業です。

なるほど~。字幕って時々「あれ?実際に話してる言葉と違う」とわかるときがありますね。たとえば慣用句とか比喩とか、日本語にない表現やスラング、流行語なんかは、なかなか訳すことができない。そうなると、表現はまったく違うけど意味的に近い慣用句なんかを入れたりするんでしょうね。
……どちらにしてもボキャブラリーが貧困ではできない仕事ですよね~。それを日常的にやってる翻訳業の方々ってすごいなぁ~。尊敬しちゃいます……。

Responsed on 2009/06/08 Monday 20:56:32

by 美輪@brownycat@管理者

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プロフィール
HN:
美輪@brownycat
性別:
女性
自己紹介:
1995年阪神淡路大震災に遭う。同年、時実新子に出合い川柳をはじめる。
「川柳大学」元会員、旧公式HP管理人。
ゆうゆう夢工房」会員。
雑誌「現代川柳」編集長。
KCC(神戸新聞文化センター)川柳教室講師、朝日カルチャー芦屋教室川柳講師。
2006年8月より神戸新聞川柳壇選者。
2007年秋よりコープこうべ通信講座川柳教室講師。
2009年4月より甲南カルチャーセンター川柳教室講師。

*神戸新聞2008/1/1~7掲載「源氏物語千年紀 川柳作家とゆく須磨・明石」はこちら

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